採算を確かめる
シガーバーの採算は、回転率より「席が埋まる時間」で確かめる
葉巻一本に一時間以上かかることもあります。一般的なバーと同じ回転率で考えると、売上を読み違えます。月にどれだけ席が埋まるかと、一人のお客様からいくら残るかを分けて試算しましょう。
物件契約前に、開業相談をする希望エリア、候補物件の家賃、席数、営業時間、想定客単価をお知らせください。契約前に、月次収支の前提と見落としやすい固定費を整理します。
まず決めること
契約前に、弱気・基準・強気の3ケースで月次損益を作ります。客足が弱い期間も資金が尽きない家賃と投資額か、ここで判断します。
01
売上は、席が埋まる時間から逆算する
月に提供できる客席の合計時間は、席数×一日の営業時間×営業日数です。客席稼働率を掛け、平均滞在時間で割ると、月間客数を試算できます。最後に客単価を掛ければ、月間売上が出ます。
- 席数
- スタッフ動線や隣席との距離を確保した営業席数を使います。図面上の最大席数は採用しません。
- 稼働率
- 営業時間全体の平均で設定します。金曜夜の満席を、そのまま月間平均には使いません。
- 平均滞在時間
- 葉巻のサイズ、追加注文、会計まで含め、想定する客層ごとに設定します。
- 客単価
- 葉巻、ドリンク、チャージを分け、注文されない商品の売上を含めないようにします。
02
数字の根拠を一つずつ見える形にする
次は、計算方法を示すための架空モデルです。実績や収益予測には使えません。税込・税抜の扱い、決済手数料、借入返済、オーナー報酬は、実際の計画に合わせて追加してください。
| 項目 | 仮定 | 計算結果 |
|---|---|---|
| 提供できる客席時間 | 10席×6時間×26日 | 1,560席時 |
| 月間客数 | 客席稼働45%÷平均滞在2時間 | 約351人 |
| 月間売上 | 客単価6,500円 | 約228万円 |
| 限界利益(仕入原価や決済手数料を引いた額) | 売上の70%と仮定 | 約160万円 |
03
損益分岐点は限界利益率と固定費で決まる
限界利益は、売上から葉巻・飲料の仕入原価、決済手数料など売上に連動する費用を引いたものです。損益分岐点売上は、固定費を限界利益率で割って求めます。
前節の架空モデルでは、月間売上が約228万円、下の損益分岐点が約257万円です。このままでは月約29万円足りません。家賃、人員配置、客席稼働率、客単価のうち、現実的に変えられる条件を契約前に見直します。
- 固定費
- 家賃、人件費、オーナー報酬、光熱費の基本料金、保守費、販促費、減価償却を含めます。
- 変動費
- 葉巻と飲料の原価、決済手数料、販売量に応じて増える消耗品費を含めます。
- 資金繰り
- 損益が黒字でも、在庫購入や借入返済で現金が不足することがあります。損益表と別に管理します。
| 固定費 | 限界利益率 | 損益分岐点売上 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 月180万円 | 70% | 約257万円 | 月商が約257万円を超えると営業損益がプラスになる計算 |
04
前提を一つずつ動かし、赤字幅を見る
基準ケースだけを見ても、計画が外れたときの赤字幅は分かりません。家賃が上がる、客数が計画を下回る、滞在が長いのに追加注文が少ない。こうした変化を一項目ずつ反映します。
- 弱気ケース
- 開業後しばらくは店が知られず、稼働率と客単価が基準を下回る条件で計算します。
- 基準ケース
- 商圏調査、営業時間、競合店の価格から説明できる前提だけを使います。
- 強気ケース
- 追加注文や物販が伸びた場合を計算します。一時的な満席売上は月間平均に使いません。
- 撤退基準
- 資金残高、赤字月数、家賃比率など、見直しを始める条件を開業前に決めます。
よくある質問
シガーバーは何席あれば成立しますか?
席数だけでは決まりません。営業時間、稼働率、平均滞在時間、客単価、固定費を同じ表に入れ、営業時間内に必要な客数を受け入れられるか確かめます。
家賃は売上の何%までなら安全ですか?
一律の安全水準はありません。限界利益率、人件費、借入返済、オーナー報酬によって残せる家賃は変わるため、候補物件ごとに損益分岐点を計算します。
葉巻の粗利だけを見ればよいですか?
粗利率に加え、在庫回転、保管中の劣化、欠品、値下げ、ドリンクとの注文構成も見ます。粗利率が高くても、長く売れない商品があれば資金は在庫に残ったままです。
オーナーの人件費は固定費に入れますか?
事業として成立するかを見るなら入れます。無給を前提にすると、営業黒字でも生活を維持できない計画になり得ます。
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